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前巷説百物語 (怪BOOKS)
京極 夏彦

定価: ¥ 2,100
販売価格: ¥ 2,100
人気ランキング: 31616位
おすすめ度:

発売日: 2007-04
発売元: 角川書店
発送可能時期: 通常24時間以内に発送
時代の雰囲気
作者が時代の雰囲気を醸し出すことを疎かにしているとは思えない。
しかし巷説シリーズを読んでいていつも気になるのが、「又市殿」「お甲殿」
などという武士(浪人も含め)の言葉遣い。また「○○藩士・何某と申す」
のような江戸時代にはあまり使用されていない「藩」の多用や陪臣の妻を「奥方」
と呼ぶこと等々。もちろん江戸時代の言葉で全部を書くわけではないが、「藩士」
であれば「○○家 家来」とした方が「江戸時代らしい」のではないか。
これまでは「まぁ仕方がないんだろうな」と思っていたが、本書巻末の参考文献の
中に三田村鳶魚の名前を見つけて違和感が強まった。三田村翁が口を酸っぱくして
指摘し続けてきたことであるから。巷説シリーズも京極堂シリーズも「言葉」が
命だと思うのだが。別の作品では徳川をトクセンと読ませるなどの三田村翁風の拘りを
見せているだけに不可解。
命の重さ
それぞれの話を解決するときに
なるべく人死にが出ないように...
と、悪いとされてる人間だって、周りの人にしてみれば大事なんだと
それを言いつのっている割には、話が進んで行くにしたがって
命が軽く扱われている感があるのは何故なんだろう。
「物語」のはじまり
「巷説百物語」シリーズの登場人物たち―なかんずく,「又一」―の過去を解き明かす物語です。
シリーズ中での又一は,酸いも甘いも知っている苦労人というイメージですが,本作で語られる彼は,まだ威勢の良い駆け出しです。
‘仕かけ’も,又一が主導権を握っている場面は少ないこともあり,やや精緻さに欠けます(もちろんこれは,作品構成上の狙いでしょうが)。
また本作では,かなり「人死に」が出てきます。これも,のちの又一の性格や仕かけのやり口を理解する上での必要な構成といえます。
本作品は,一連のシリーズを読んでいるほうが楽しめるのは確かです。しかし,本作品を最初に読んだとしても,シリーズと矛盾しないよう,うまく構成されています。
一連のシリーズと同一平面で評価するのは難しいですが,キャラクターの性格に深みを与えるものとして,また小説自体としても楽しめます。
なお,「後巷説百物語」でシリーズ的に一応区切りがついていると思われるので,新作品が出るとすれば,外伝的あるいはサイドストーリー的な構成になるのでしょうか。本作で初登場しかつシリーズ中で語られていないキャラクターもいるので,是非,続きを期待したいところです。
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