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変身
東野 圭吾

定価: ¥ 620
販売価格: ¥ 620
人気ランキング: 2450位
おすすめ度:

発売日: 1994-06
発売元: 講談社
発送可能時期: 通常24時間以内に発送
自分の足跡
すごくリアルに自分が自分でなくなっていく過程が描かれている。「生きているということは自分が足跡を残していくことだ」という一文には深く納得。アルツハイマー患者は自分が残した足跡が消えていく。でも主人公、純一は自分が残してきたはずの足跡がどんどん他人のもののように思えてくる。どちらも生きていくのが空しくなるだろう。でも愛する人を愛したい気持ちがなくなっていくのを止められない、しかもそれを自覚しているという点においては後者のほうがつらいだろうと思う。最後に純一があの絵を描き残してくれてよかった。
脳の中の壮絶な闘い
脳移植を受けた主人公が、ドナーの性格に少しずつ乗っ取られていくという、ある意味でとても怖い話だ。
主人公の純一は優しく気弱な青年だが、彼と脳の中の「別人」との壮絶な闘いは感動的でさえある。彼が最愛の恋人を守りぬくラストシーンには目頭が熱くなった。
この小説はミステリーというより、あえて言えば犯罪小説の一種だから(それ以前に恋愛小説だけどね)、猟奇的な部分もあるが、書こうと思えば、もっと「ホラー」にもできたはずで、作者はあえて一定のレベルで止めているのだろう。主人公の一人称だけでなく、周囲の人々の「日記」や「メモ」を挿入して、客観的に描こうという視点も成功していると思う。
移植された脳のドナーが誰か、という謎は、すぐにわかってしまうけど、作者はそれを承知で書いているだろうから、まあ問題ではない。
しかし、ドナーは攻撃的な性格かもしれないが、腹が立った相手に、瞬時に殺意を抱き、ためらいなく実行するほど、悪魔のような人間ではなかったはずで、そう考えると、主人公の人格を塗りつぶそうとする「別人の脳」の異常さは、ちょっと納得しにくい。そこが気になったので減点1かな。
変わってゆくことの辛さ
優しくて気の弱い純一の性格が、どんどんと変化してゆく様子はもうなんとも言えず。
ただ、あそこまで性格が乗っ取られて(?)しまうのはいかがなもんか。
もう少し二つの人格が闘ってもよかったような気もする。
や、それが性格の強さによるもの、と言われてしまえば仕方ないんやけど。
あまりもの変わりっぷりは、本当にすさまじい。
行動が変わってしまうのは仕方ないにしても
今まで愛していた人を愛せなくなってゆくのってどれだけつらいんだろう、と思わずにはいられなかった。
それでも、純一が恵を想う気持ち、そして恵が純一を想う気持ちだけは何にも負けなかった、ってことか。
それだけに最後は切なかったなぁ。
純一は救われたんやろうか?
脳移植手術なんて、近い将来本当に実行されそうだし
なんだか薄ら寒い恐怖みたいなものを感じた作品でした。
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