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空中ブランコ (文春文庫 お 38-2)

空中ブランコ (文春文庫 お 38-2)
奥田 英朗

定価: ¥ 500
販売価格: ¥ 500
人気ランキング: 15529位
おすすめ度:
発売日: 2008-01
発売元: 文藝春秋
発送可能時期: 通常3?5週間以内に発送

ユーモアと、人間模様の描写のバランスが取れた、「伊良部シリーズ」のベスト作
私は、荻原浩からこの奥田英朗に入り、これまでに、どちらの作家も全作読破したのだが、この二人は、読めば読むほど、本当に共通点の多い作家だと、つくづく思う。

コピーライターという前職からくる軽妙な文体、シリアスな作品からユーモア小説まで、どんなジャンルの作品でも書きこなしてしまう器用さということだけでなく、最も出来が良く、読み応えがあるのが、ユーモア小説などの肩の凝らない作品であることまでもが共通していると思うのだ。最後の点については、「真夜中のマーチ」の解説で北上次郎氏が述べているように、「最悪」や「邪魔」のようなシリアスな作品こそが大傑作だとする意見もあるようだが、私は、奥田英朗の本領は、やはり、「伊良部シリーズ」や、「ガール」などにあると思っている。

「伊良部シリーズ」には、この「空中ブランコ」の外に、第1作の「イン・ザ・プール」と第3作の「町長選挙」があるのだが、直木賞を受賞したからいうのではなく、この作品の出来が頭抜けている。 

「イン・ザ・プール」は、面白いことは面白いのだが、全体的に、精神科に通院するに至った登場人物たちそれぞれの人間模様の描写が弱く、伊良部の面白さだけが浮き上がっているところがあり、それゆえ、中には、凡作も見られるのだ。また、「町長選挙」になると、シリーズ物の常として、ネタ切れ模様で、特に、どこかであったような話2題は、やたらと理屈っぽく、面白さも半減してしまっているのだ。 

それに対し、この作品は、2作目ということもあり、作者の伊良部の活かし方も堂に入ってきており、面白さも全開であるだけでなく、登場人物たちの切羽詰まった人間模様の描写とのバランスが取れており、1作たりとも凡作がなく、全体が、高い水準でまとまっているのだ。特に、「女流作家」の胸が熱くなるようなラスト7ページは出色であり、単なるユーモア小説の域を完全に超えている。 



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