人気の和書通販Top >  奥田英朗 >  サウスバウンド 上 (角川文庫 お 56-1)

サウスバウンド 上 (角川文庫 お 56-1)

サウスバウンド 上 (角川文庫 お 56-1)
奥田 英朗
サウスバウンド 上 (角川文庫 お 56-1)
定価: ¥ 580
販売価格: ¥ 580
人気ランキング: 2782位
おすすめ度:
発売日: 2007-08
発売元: 角川書店
発送可能時期: 通常24時間以内に発送

買って損はありえない
すごく面白かったです。
まず主人公の二郎(小六)が大食いで漫画の立ち読みを日課としている普通の男の子なんだけど、友達も多くて、やさしくて、男らしくて、家族思いで、まっすぐで、いい子です。
その子の視点で描かれているので、全体を通してあくまでさわやかです。

上巻は、東京でのお話です。元活動家の親父に振り回され、母の過去や姉のことを心配し、不良な中学生に悩まされ、成長していきます。
そして色々とあって、家も追い出されるような状況で八重山に引っ越すことになります。

下巻は八重山での生活が始まります。上巻:東京編、下巻:八重山編でがらりと変わります。登場する主要人物は同じなんだけど、背景の色や空気が全然違うような感じです。
テレビも冷蔵庫もない家に島の人たちの計らいで住めることになりますが??といっても人の法律上は他人の土地でこれがきっかけで大騒動になりますが??、親父が本領を発揮して大活躍の大暴れです(東京でも大暴れはしてたけど)。

個人的に沖縄が好きなので、沖縄についても少しだけど活字で知識を入れたりしていたので「ユイマール」「ウタキ」など、言葉の意味としては知っていましたが、この本を読んで初めて本当の意味がわかったような気がします。そういう意味でもいい本です。しかし、いいなー沖縄、、じゃなくてここは八重山と言っておくか。

難をいえば下巻で親父・一郎が英雄になりすぎのような…。きっと作者も一郎のファンなのでしょう。

面白い作品
一言で言えば、面白い作品であった。上下巻という大作であるが、長さを感じることなく、スラスラと読むことができた。
第一部は主人公二郎の家族が元過激派の父親に翻弄され中野から転居せざるを得なくなるまで、第二部は沖縄の西表島に転居後の生活が描かれている。
小学生から見た大人の世界、そして子供同士の世界がうまく書けている。なんと言っても主人公の一郎の人物像が強烈で、自分の身の回りにいたら確実に関わりを持ちたくないタイプの人物であるが、彼の発言・行動は、一見めちゃくちゃでありながら、現代日本の問題点を的確に捉えて筋が通っており、読んでいて面白かった。作者の全ての作品に共通するところであるが、泣かせどころ、笑わせどころを作るのが本当にうまく、楽しめる作品であった。
「最悪」「空中ブランコ」「泳いで帰れ」そして本作と、どの様なジャンルでも面白い作品にしあげてしまう作者は本当にすごい!

爽やかな南の風に包まれて・・・
『サウスバウンド』とは『南行き』という意味で、新幹線の電光表示板に出る「?bound for KYOTO」のバウンドと同じだ。で、この物語の後半まで来ると、そのワケが明らかとなる。前半は「学園もの」といった範疇に入るのだろうか、大都会東京に住む小学6年生のいささか‘ませた'「スクール・ライフ」が綴られる。両親の過去の秘密や家族のこと、更には学校内でのいじめ等々を織り交ぜて、主人公の二郎はいろいろな事件に巻き込まれることとなる。クラスメイト(東京らしく?)との軋轢や友情など、前半にも読ませどころはふんだんにあるものの、ストーリーに俄然躍動感が出てくるのは後半に入ってからだ。

これまでの東京での暮らしとは180度異なる「スロー・ライフ」が始まるわけだが、このあたりの新旧世界の対比がとても鮮やかで、戸惑いが徐々に共感に変化していくところが面白い。更には、新しい生活やまたまた巻き込まれる(!)事件を通して、家族が団結し再生されていくところなどは読み応え充分で、後半は「冒険ファンタジー」といった趣を帯びる。いろいろなことを経験しながら成長する二郎の姿は眺めていて微笑ましく、私のような親父(笑)ではなく同年代の少年少女だったらどんな風に感じるのか、とても興味があり感想を聞いてみたい気分だ。

これまで奥田英朗氏は『イン・ザ・プール』しか読んだことがなく、確かに面白いけれど何かヲタクっぽくてネチネチとした印象があり、次の作品に手が伸びないでいた。今になって大いに反省しているが、いやはやなんとも面白い。特に後半に入ってからのスピード感はどうだ!グイグイと引っ張られあっという間に読み切ってしまったが、久々のど真ん中ストレートだった。無理して一言で表すと『家族の団結と再生を絡めた少年の成長記』と味も素っ気もなくなるが、同様の作品として『母恋旅烏』(荻原浩)を是非ともお薦めしたい。こっちの親父さんもなかなかの人物だ。またスケールの大きなファンタジーとしては『アナン、』(飯田譲治)を挙げておきたい。



関連エントリー

人気の和書通販Top >  奥田英朗 >  サウスバウンド 上 (角川文庫 お 56-1)