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サウス・バウンド

サウス・バウンド
奥田 英朗
サウス・バウンド
定価: ¥ 1,785
販売価格: ¥ 1,785
人気ランキング: 64778位
おすすめ度:
発売日: 2005-06-30
発売元: 角川書店
発送可能時期: 通常24時間以内に発送

一気に読み終えた
かなり長編の小説ですが、一気に読み終えてしまいました。

過激な父親に振り回される少年が、
逞しく成長していく様子が面白おかしく、
でも最後には感動を与えてくれます。

大人になるに連れて、
人は間違いを間違いだと堂々と言えなくなってしまう。
自分を信じて生きることの大切さを、
周りからは元過激派と恐れられている父親が教えてくれます。

突拍子もないのだけど、
自然の中でいきいきとしていく家族の姿がとても魅力的です。

南風(ぱいかじ)の吹く場所へ
“父は元過激派だ”帯にこんな文字が躍っている。
浅間山荘事件に代表される学生運動をテーマに、時代を遡って描いているのかと思えば、
あくまで時代背景は平成の世だ。
語り手である小6の二郎は「あしたのジョー」を立ち読みしながら
“昭和時代はなかなか面白そうだ”なんてつぶやいている。

二部構成になっており、第一部では東京・中野での生活を、第二部では舞台を沖縄に移して
二郎の父親・一郎の“闘争”とそれに巻き込まれる家族の様子を人情味たっぷりに描いている。
一郎にしてみれば、自らの信条を守ろうとしているだけの行為が、周囲からは闘争とみなされてしまうのだ。

今の世の中、何かの運動行為自体が根付きにくいように思える。
例えば、納付義務を怠る行為があったにしても、それは主義主張からというより
損得勘定からきているように見えるのだ。
それに比べると、徒党を組まず、自らの信条を貫く一郎の姿勢は、何か新鮮で清々しいもの
に感じられる。もちろん皆がみんなそれでは社会は成り立たないのだけれど。

組織というのは所属していた方が安全で安心なものだ。本当のところはわからないけれど、
都市部ではとくにそう思ってしまうようにシステムが確立している。
でも、誰もが自由になってみたいという気持ちを心のどこかに持っているだろう。
そんな心がくすぐられるお話だ。

愛と幻想のファシズムを思い出しました。
痛快!愉快!
本当にしびれるくらい元気をもらいました!

比較する気はありませんが村上龍の「愛と幻想のファシズム」を
読んだときを思い出しました。
「愛と……」は、弱者と民主主義を根底から否定し、強い者たち
のみを淘汰していく、ファシズム社会の確立を目指す鈴原トウジ、
(この名前は相田ケンスケとともにエヴァンゲリオンにも出てく
る)が、これが「サウス・バウンド」の主人公上原二郎の父、上原
一郎にかぶる。何がかぶるって、単純に言ってしまえば、男として
のひきつけられ方である。
こちらは元革共同の活動家であり、アナーキストである。
周囲にはちょっと行き過ぎ感も感じさせるが、これがまた読んで
いてドキドキさせてくれる。
そして、小学6年生の二郎の学校生活を絡めたストーリー展開は
この上なく、小学校生活を思い出させてくれ、何も考えていない
楽しいだけの日々を毎日一生懸命生きながら、友達、家族に熱く
なり、小学生なりに身の振りを考え、ときにはつらいことも、憂鬱
なこともあり、逃れられない何かに覆われながらも、走り続ける
ことで、かならず朝が来ることを思いださせてくれる。
そして、やはり元気の源は友情であり、淡い気持ちであることを
思い出させてくれる。
子どもころ生きていた場所、そして無意識に追い求めていた世界
が、きっと「楽園」ということなのだろう。そして、父一郎と母桃子が
めざしたのも「楽園」だった。
紆余曲折しながら、家族という絆の元、時間はかかっても「楽園」
をめざしきった者の喜び……これは、読後に握りこぶしをだあっ
とやりたくなる。
文句なしの1冊です。



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