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まるごと宮部みゆき
朝日新聞社

定価: ¥ 1,029
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発売日: 2002-07-12
発売元: 朝日新聞社
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充実した宮部みゆき読本
朝日新聞の文芸部が、直木賞授賞作『理由』の文庫化にタイアップして作った『宮部読本』である。「模倣犯」の各賞授賞、映画化でこの10年間、何回目かの宮部ブレイクをしている今日の状況にも乗っかかっている。さすがに個人の趣味で作ったのと違い充実した『読本』になっている。
ひとつは資料的な価値。新人授賞作の再録、年譜、書誌データを載せるのは当然として全発行著作のカバーを全てカラーで載せている。雑誌連載時の第一回目の挿絵も載せてある。
ひとつは作品世界の分析である。一人の批評家に任せるのではなく、四人の批評家に書かせてバリエーションを持たせている。それぞそれ見当違いなことは書いていないと思う。複数の批評家が、外国のサスペンス等を参考にしながらも常に下町庶民の目から物語を構成しようとしている『視点』を指摘しているのは注目に値するだろう。彼女のお手本はキングだけでないのである。また、本人も言っているし、池上冬樹も言っているがまだ宮部は『恋愛小説』を書いていない。宮部の弱点であり、これからの可能性のひとつであろう。また、もうひとつ彼女の弱点も明かになった。本人はインタビューの中で「私が書ける小説の種類はおのずと限られてくる」といっている。しかし批評家は誰も批判はしなかった。(読本だからといって甘いのではないか)私があえて指摘すると、彼女は時代小説なら武家小説、特に藩の運命が絡んでくるものや歴史小説はまだ書いていない。現代小説なら政治の世界は書いていない。書こうとしない。自分が想像できない世界は書けないのだそうだ。しかし、山本周五郎、池波正太郎、藤沢周平はともに市井小説の大家であるがそういう政治物も書いていた。恋愛にしても政治にしても彼女にひと皮剥けてもらいたいと願うのはファンの身勝手というものであろうか。
この「読本」のもう一つの魅力はこの本の三分の一を占めるロングインタビューである。いろんな注目発言が有るのたが、特に作品をどうやって書いているかを割りとあけすけに喋ってくれているのは大注目。『火車』『理由』『模倣犯』の裏話も豊富。
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